青藍（せいらん）な日々

第６０話　娯楽から趣味へ

娯楽ならば、年に１，２回しか動かしません。ヨットなら、そんなもんでしょう。それで、その娯楽を趣味に置き換える事をお奨めします。その方が深みがあるからです。趣味とは趣を味わうという事ですから、ヨットの持つ、自然が持つ趣を味わい、感じることです。本当に味わうには年に１回では無理でしょう。もっと、もっと乗ることです。

とりあえずマリーナを出て、セーリングして帰ってくる。これができるようになったら、ここで止まらない事です。同じ海域を同じヨットで走っても、その都度違う。自然が違えば、自分の腕も上達してくる。おまけに乗ってる時の自分の気分もその都度違うわけですから、乗れば乗る程、いろんな場面に遭遇するわけです。その場面を数多く経験する積み重ねが、深い趣を味あわせてくれます。１回乗って、最高の条件にたまたま遭遇した場合より、１０回目に初めて最高の条件に遭遇した時の方がより深い経験として感じられます。ですから、たくさん乗ることです。

生きている事は経験する事ですから、その経験から感じる事が究極ですから、何を感じるかが重要です。誰でも、充実した人生を送りたいと思います。でも、それを充実させるかどうかは自分次第です。何をするにしても、追求する姿勢が無いならば、そこに充実感は生まれないと思います。せっかくヨットをされるなら、是非、この充実した感覚を得ていただきたいと思います。娯楽にしておくにはもったいない。

追求するという言葉は堅苦しいですが、要はたくさん乗る事から始めるという事で充分でしょう。ちょっとした機会を見つけて、短時間でも乗る、或いはヨットに接する。そういう場面を多く持つ。そうすると人間はやたらと何かを考える生き物ですから、接したヨットにいろんな想像がわいてくる。初めは簡単に出来る事から実行していけば良い。実行を重ねると、考える事から感じる事に変わります。感じられればもうこっちのもの。もっと感じたいと思うようになる。感じれば、感じる程、充実感が広がります。
もっと感じたいから、うまくなりたいと思う。知りたいと思う。そうなるとヨットは趣味の世界から、さらに 一歩出て、人生の一部ともなりかねません。大袈裟ですが。

ともかく、娯楽の世界から一歩踏み出して、趣味の域に行きましょう。